プログラマーといえば、残業が当たり前というイメージがつきまといます。急な仕様変更7人手不足など、さまざまな理由で長時間労働を余儀なくされるケースは少なくありません。
しかし、昨今では残業を避けたいと考えるプログラマーも増えています。
そこで今回は、
・残業なしで働く環境は実現可能
・残業代はしっかり支給されるのか
などについて詳しく解説します。
プログラマーの残業の実態

厚生労働省が公開したデータによると、2019年におけるプログラマーの残業割合は下表のとおりです。
| 1か月あたりの残業時間 | 割合 |
| 9時間未満 | 11.0% |
| 10時間から19時間未満 | 38.4% |
| 20時間から29時間未満 | 33.7% |
| 30時間から39時間未満 | 0% |
| 40時間以上 | 2.3% |
| 不名 | 14.0% |
このデータを見ると平均残業時間は19.5時間になります。月の出勤日数を20日とした場合、1日あたり約1時間の残業です。
一見すると深刻な長時間労働には思えませんが、平均値の背後には大きな分布の広がりがあります。もっとも多いのは10時間から19時間の残業で38.4%です。次いで20時間から29時間の層が33.7%となっています。
これだけで全体の7割以上に達し、多くのプログラマーが月に10時間から30時間程度の残業をしている実態が見えてきます。

なかなかきついですね
一方で、0時間から9時間という比較的残業の少ない層も11.6%存在します。この層が少数派であることを考えると、業界全体に改善の余地はあるでしょう。
ただし、残業時間は徐々に減ってきています。

月あたりの平均残業時間は、2016年の22.2時間から2019年の19.5時間に減少。約2.7時間の減少ですが、働き方改革の影響や業界全体の取り組みが実を結びつつあると考えていいでしょう。
顕著なのは20時間から29時間の残業をしていた層で、37.2%から33.7%に減少しています。また、30時間から39時間の層も9.3%から0%になっています。
一方、10時間から19時間の残業をする層は30.2%から38.4%に8.2ポイント増加しています。9時間未満の層も7.0%から11.6%へと増加しているので、全体的に残業時間が少ない方向へシフトしていると考えていいでしょう。
プログラマーの労働環境は改善傾向にありますが、依然として月20時間以上の残業をしている層も全体の3分の1以上を占めている点に注意が必要です。

IT業界では勤務先の規模や業種によっても残業時間が大きく異なります
大手企業は組織体制が整っているので定時退社の可能性が高いです。しかし、小規模のベンチャーやスタートアップは月の稼働時間が300時間を超えるケースもあります。
業界やプロジェクトの内容によって長時間労働が発生するケースも少なくありません。フリーランスやSESは残業時間のばらつきが大きく、特にSESは案件次第で過酷な働き方になることも多いです。
プログラマーの残業が当たり前とされているのはなぜか

プログラマーの残業が当たり前とされている主な理由は次の3つです。
・開発スケジュールがタイト
・急な仕様変更やバグ対応が多い
・人手不足と業界の文化
それぞれ詳しく見ていきましょう。
開発スケジュールがタイト
ソフトウェア開発の現場では、一般的にタイトなスケジュールが組まれます。
市場競争の激化によってスピードが求められ、顧客からの納期も厳しくなっているのが現状です。開発チームは限られた時間の中で多くの作業をこなす必要もあります。
プログラマーは複雑な問題を解決しながら品質の高いコードを書かなければいけませんが、十分な時間を確保できないケースは多いです。

定時内での作業完了は難しく残業に追い込まれてしまいます
急な仕様変更やバグ対応が多い
急な仕様変更やバグの発見は日常的に起こります。システムがすでに稼働している場合、クリティカルなバグは即座に対応しなければいけません。
このような緊急対応は通常の業務時間内では収まりきらないことが多く、夜遅くまで作業を続けることになります。
仕様変更への対応も慎重な作業と十分なテストが必要となるため、多くの時間がかかります。
人手不足と業界の文化
日本のIT業界では「残業は当たり前」という文化が根付います。
新人プログラマーは先輩の働き方を見て「残業が普通」と認識してしまい、この文化が世代を超えて継承されているのが現状です。
残業を前提とした工数の見積もりや計画が立てられることも少なくありません。このような業界特有の文化や慣習が、プログラマーの長時間労働を助長する要因となっているのは間違いないでしょう。
プログラマーが労働時間を減らすための工夫

プログラマーが労働時間を減らすためには、次のような工夫をすると効果的です。
・タスク管理とスケジュール調整
・自己啓発と時間管理の技術
・転職を含めたキャリア戦略
それぞれ詳しく解説します。
タスク管理とスケジュール調整
効率的なタスク管理は残業削減の大きなポイントです。まずは日々の業務内容を細かく分析して、優先順位をつける習慣を身につけましょう。

朝一番で今日やるべきことをリストアップし、重要度と緊急度に応じて実施順序を決めていきます
上司や同僚とコミュニケーションをとり、無理のない期限設定を心がけることも重要です。タスクを見積もる際には、予期せぬトラブルに対応する時間も考慮しましょう。
自己啓発と時間管理の技術
プログラミングスキルの向上は作業効率を大きく改善させます。
新しい開発手法やツールの使い方を積極的に学び、業務を効率化する方法を模索しましょう。
集中力を保つためのテクニックも重要です。たとえば、ポモドーロ・テクニックを活用して25分の集中作業と5分の休憩を繰り返すと持続的な生産性を維持できます。
デスクワークによる疲労を軽減するために、定期的なストレッチや軽い運動を取り入れるのも効果的です。

睡眠時間は十分に確保、休日はリフレッシュして業務効率を高めましょう
転職を含めたキャリア戦略
現在の職場環境で改善が見込めない場合は、転職も視野に入れた長期的なキャリア戦略を考えるのもおすすめです。
転職を考える際は残業や労働時間の長さだけでなく、技術力の向上機会や将来性なども含めて総合的に判断する必要があります。
フリーランスとして独立したい場合は、案件獲得や税務関係処理などのスキル習得も不可欠です。
プログラマーの残業が多いIT企業の特徴
プログラマーの残業が多い企業には、次のような特徴があります。
・固定残業代制(みなし残業代制)を採用している
・人員不足の状態が続いている
・アットホームな文化
・未経験者を多く採用している
それぞれ詳しく解説します。
固定残業代制(みなし残業代制)を採用している
固定残業代制を採用している企業は残業が常態化している可能性が高いです。この制度は実際の残業時間に関係なく、一定額の残業代があらかじめ給与に組み込まれています。
たとえば、月40時間分の残業代が基本給に含まれている場合、企業が残業を抑制するインセンティブが働きにくくなります。
残業時間が固定残業時間を大幅に超えても、追加の残業代が支払われないケースも少なくありません。給与は高く見えますが、実際の労働時間で割ると最低賃金ギリギリになることもあるので注意が必要です。
特に「固定残業代40時間分含む」のような求人は、月40時間以上の残業が想定されていると捉えるべきでしょう。
人員不足の状態が続いている
慢性的な人員不足は、必然的に一人あたりの業務量を増加させます。
新規案件を次々と受注しているにもかかわらず、それに見合った人材採用ができていない企業は、既存の社員に負荷が集中します。
離職率が高く「採用中」の状態が続いている企業も要注意です。人材が定着しないので既存メンバーの負担が増え、さらなる離職を招くという悪循環に陥ります。
「少数精鋭」や「効率的な組織運営」などの美名を掲げ、必要最低限の人数で運営している企業も実質的には人員不足と考えていいでしょう。
アットホームな文化
「アットホームな社風」や「家族的な雰囲気」を強調する企業にも注意しましょう。
不適切な残業要請を受け入れやすい環境にある可能性が高いです。
親密な人間関係を重視するあまり、業務時間外でも気軽に仕事の依頼がされたり、断りづらい雰囲気が形成されたりします。

飲み会やイベントも多いので実質的な労働時間が延びます
未経験者を多く採用している
未経験者を積極的に採用している企業はチャンスが多いように見えますが、残業が多くなりやすい傾向があります。
経験者と未経験者が混在する環境では、経験者の負担が必然的に増加するためです。未経験者の教育や指導に時間を取られる一方で通常業務もこなさなければならず、結果として残業が発生します。
未経験者自身もスキル不足を残業でカバーしようとする傾向があります。未経験者の給与は比較的低く抑えられることが多く、企業側が残業代を含めた「総支給額」で人件費を調整しようとするケースもあります。

「未経験歓迎」と「固定残業代制」を組み合わせている求人は特に注意が必要です
プログラマーの残業が少ないIT企業の特徴

プログラマーの残業が少ない企業には、主に次のような特徴があります。
・自己開発比率が高い
・成果主義で効率を評価している
・残業削減への取り組みが活発
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己開発比率が高い
残業の少ない企業では、社員の自己開発に対する投資が積極的に行なわれています。
業務時間内に学習や技術研究の時間が正式に設けられており、新技術のキャッチアップや個人のスキルアップも推奨されています。
このような企業では、効率的な業務遂行のため個人の技術力向上が不可欠という認識が根付いています。
自己開発の時間が確保されれば最新の開発手法や効率的なツールの活用も進み、結果として残業時間の削減につながります。
成果主義で効率を評価している
成果や生産性を重視する評価制度を導入している企業は、必然的に残業が減少する傾向にあります。このような企業は遅くまで働くことが評価につながりません。逆に効率的な業務遂行能力が高く評価されます。
具体的な目標設定と達成度による評価も行われ、時間当たりの生産性が重視されます。

フレックスタイム制やコアタイム制を採用しているケースも多いです
残業削減への取り組みが活発
たとえば、毎週水曜日を「ノー残業デー」に設定している企業や、20時以降のPCの強制シャットダウンシステムを導入している企業などは理想です。
余裕を持たせたスケジューリングを行い、突発的な事態にも残業せずに対応できる体制も整えられています。
まとめ
プログラマーは残業が多い仕事であるのは事実です。しかし、近年では企業と働く側、どちらの意識も変わってきています。残業が多い企業には特徴があるので、今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。
プログラミング初心者の方は、総合ガイドも参考にしてみましよう。


